四国自動車博物館

トヨペットクラウン 1900 デラックスRS31型

日本のモータリゼーションはこの車から始まったといっても過言ではない。
当時の日本のメーカーは、米国車などのノックダウン生産から自動車技術を学ぼうとしたが、トヨタは自社独自の技術開発でこのモデルを設計した。

クラウンがデビューしたのは昭和30年(1955年)1月。自家用で乗用車を持つなど夢のまた夢という時代であった。そんな時代に、純粋なオーナードライバー向けの車として誕生したのである。車としては前のモデル、トヨペットスーパーの発展型であり、エンジンもR型を基本としたものであったが、フロントのサスペンションに国産車初のコイルスプリング・ダブルウィッシュボーン、リアのサスペンションは3枚リーフスプリングのリジットアクスルを採用。クラッチは全油圧作動となるなど、最新の技術が投入されていた。

エンジンは当時の小型車枠一杯の1500ccで、水冷4気筒OHV。スタイリングはアメリカ車を縮小したようなムードだが、戦後初の純国産乗用車ということで、日本国民の関心はこの車に集まり、あこがれの的であった。なかでも観音開きのドアが最大の特徴であったが、ランチアのそれと違ってセンターピラーが存在するため、乗降のアクセス向上には至っていない。ボディは日本の乗用車としては初めて、プレスを導入した本格的な量産が行なわれた。

この博物館の1台はそのトヨペットクラウンの最終モデル。走行距離が4,000キロあまりという、極めて保存状態のよい1台である。おそらく日本一オリジナリティの高いクラウンであろう。


specification
Engine Type 4気筒OHV 3R型
Cubic capacity 1,897cc
Maximum horse power 90hp